2018年1月20日
五嶋みどりからのメッセージ
日本の皆さまへ
寒中お見舞い申し上げます。
新しい年も明けてすでに半月ほどが経ちました。昨年末にミュージック・シェアリングのICEPの活動で若手演奏家3名とインドを訪問し、現地の子どもたちや、まだまだ改善の余地が残る社会から置き去りにされている人々に私たちの音楽を届けることができました。ICEPの活動で訪れた国もインドで9カ国目となりましたが、毎回この活動を通じて、音楽という一見生活の装飾に値するのではないかと思われるものが、実は子どもたちに無尽蔵の可能性を与えるものであることを目の当たりにするのです。
瞼を閉じればまだインドでの光景がフレッシュに蘇りますが、6月には「報告コンサート」という形で、皆さまともこの経験を分かち合うことを心待ちにしています。また同時期に日本全国の小学校、特別支援学校、病院、施設等も訪 問し、私の脳裏に焼き付いたインドでの経験と、その時と同じメロディーもお届けします。
ミュージック・シェアリングの活動以外では、今秋からカーティス音楽院で教鞭をとるため、10年以上住み慣れたロサンゼルスから、フィラデルフィアに転居します。何度となく訪れたフィラデルフィアでもいざ住むとなると勝手が違います。
ロサンゼルスは年中温暖な気候で快適に過ごすことができましたが、フィラデルフィアは四季の移り変わりがありますもの。新しい学校で新しい生徒や同僚たちとの出会いも楽しみですし、ニューヨークへは電車で1時間半くらいで帰れるので、これまでよりも頻繁に家族にも会えるのも嬉しいです。
日本で皆さまとお会いできる機会が少ないのは残念ですが、7月にはPMF(札幌)でバーンスタインの「セレナーデ」を演奏します。
それでは、変わらぬ温かいご支援に感謝しつつ、皆さまの益々のご健勝をお祈りしております。どうぞお元気でこの一年もお過ごしください。
2018年1月20日
五嶋みどり